カテゴリーアーカイブ: 空気圧
スピードコントローラの低速タイプを保有しています。
AS1001FM-06というタイプです。

流量特性は以下のグラフのようになります。

ニードル回転数10回転戻しで3L/分ぐらいの流量になるようです。
※差圧0.5MPaで測定。
ところで、エンゾー式サブタンクのテストに使用したスピードコントローラはAS2002Fでした。たまたま在庫があったので購入しています。

走行テストの結果として、閉じ切りから3/4回転戻しぐらいが良かったわけですが…
AS2002Fだと、ニードル5回転戻しでは40L/分ぐらいのようです。つまり3/4回転戻しだと、6L/分ぐらいになります。
結局、低速制御用のAS1001FMだと20回転ぐらい戻したところが丁度いいということになりそうです。
同じく低速用でも、AS2051FMなら5回転戻しで20L/分ぐらいなので、これなら3/2回転戻しぐらいで丁度いいぐらいになりそうです。
または、標準タイプでAS1002Fなら5回転戻しで25L/分ぐらいなので、1回転とちょっと戻しぐらいで丁度よくなりそうです。
ところで、私のCRF450Rですがフロントフォークのシール交換を実施した時に、再組み立てで作動油量を最低にしてあります。フロントフォークの作動油量を増やせば圧縮時に高圧になりやすく、スピードコントローラを流れる流量も増える可能性があります。
本コースへ移動して、スピードコントローラ全開と全閉の比較から始めました。
全開については、違和感が大きく気をつけて走らないと危ない感じでしたが、まずは、第2コーナーの進入にある突起でフロントが下がりすぎる印象でした。
スピードコントローラ全開
スピードコントローラ全閉
続くセクションで小さいジャンプが連続しますが、スピードコントローラ全開の場合はフロントを落とさずにウィリー気味に走る感じになります。
スピードコントローラ全開
スピードコントローラ全閉
その後のブレーキング(3コーナー)も、スピードコントローラ全開だと思いきってかけられない感じになります。つまり、フロントタイヤのトラクションよりもサスペンションのバタツキに注意してブレーキをかけるような感じでした。
スピードコントローラ全開
スピードコントローラ全閉
※前に小さいのがいるせいかもしれません?
その後、本コース全周を周回しながらスピードコントローラの締め切りから1回転戻し、2回転戻し、1/2回転戻しなどを比較して、3/4回転戻しに落ち着きました。
スピードコントローラの絞りを閉じていた方が違和感が少ないのですが、開いていた場合には、フラットコーナーを走行中にフロントが低くやわらかいため旋回性が高い感じでした。コーナーの進入でそのまま倒しこめる感じでした。
その後、確認のためにサブタンクをはずして走ってみましたが、あたりが固くコーナーの進入でもたつく?感じになりました。
夕暮れ時で影が見えますが、サブタンクがある方がフロントフォークが縮んでいて細かい動きが少ないように見えます。
ナイロンチューブの強度が気になって調べてみたのですが、いわゆる引張り強度というのはカタログ値としては存在しないようでした。引っ張れば伸びるのでしょうから、荷重試験機で引っ張るような話とは違うのだと思います。
ネット検索で探して出てきたのが、霧雨散水の気化熱で冷房するナイロンチューブの耐候性についての資料でした。以下のグラフは紫外線を当てて劣化させたナイロンチューブの強度ですが、劣化により伸びやすくなるものの引きちぎられる荷重は変わらず、2000N(200kgf)程度のようです。

ただし、この文献ではチューブの太さが、外径9.5mm、厚み2.5mmとなっています。この場合、断面積はおおよそ32平方ミリとなります。
今回のenzo式サブタンクに使用したナイロンチューブは、外径4mm、厚み0.75mmですので、断面積は9.4平方ミリです。文献のチューブは3.4倍ほど断面積があることから、enzo式サブタンクに使用したチューブが引きちぎられる荷重は、2000N÷3.4≒600N(60kgf)程度ということになりそうです。
ナイロンの紐を引っ張ってちぎれるかというと、人間の力では難しいぐらいの感じなので、こんなもんでしょう。
そうなると、ワンタッチ継ぎ手からチューブが抜けてしまうというのが気になります。
こちらは、SMC製ワンタッチ継ぎ手に関する資料に記述がありました。

JIS規格で80N(8kgf)以上と定められているようです。5kgのダンベルなら大丈夫だけど、10kgだと抜ける感じなので…
サブタンクが落ちても大きいGがかからないと抜けないぐらいの感じかもしれませんが、重量のある部品は固定しておいたほうがよさそうです。
なお、ワンタッチ継ぎ手にチューブを取り付けたり取り外したりする場合に必要な力は以下の通りです。

引き抜き耐力?の80Nと比較してそれほど大きく違わないということは、ワンタッチ継ぎ手については、内圧によって抜けることが少ないという面が重要だということなのかもしれません。
走行後取り外して、こんな状態です。

まず、2個あるOリングのうち上側はつぶれて段付きになってしまいました。
キャップから取り外す場合ですが、ロックナットになっている2個のナットは工具をかける二面巾がそろうわけではないので、ワンタッチ継ぎ手の方を先に緩めることになります。そうするとロックナットではなくなってしまうので、フランジナットは中空イモネジに対して回転してしまいます。
つまり、取り外せません。
中空イモネジの先端に6角穴があいているので、六角レンチで取り外すことができました。他の方法としては、8mmのスパナの薄いものを入手するか、削って薄くすればロックナット状態のままフランジナットを回せそうです。また、さらに他の方法としては、フランジナットとイモネジの間を溶接なりはんだ付けなり接着なりすれば大丈夫かもしれません。
まあ、六角レンチの小さいのがあれば取り外しできます。
いきなり本コースを走るのは怖いので、南エンデューロコースへ下る坂を上り下りしてみたり、(ジャンプのない)初心者コースを周回したりしました。
スピードコントローラ(絞り弁)を大きく開いた場合と、完全に閉じているであろう?状態を比較しています。
スピードコントローラ全閉でも、サブタンクなしとは違う感じがしました。到着して早々サブタンクを取り付けてしまったため、比較はできませんでしたが、あたりがやわらかく乗り心地がいい感じがします。耐圧は大丈夫といってもナイロンホースなので、ある程度膨らむのかもしれません。
スピードコントローラを全開にした場合に、サブタンクなしとの差が大きいはずですが、乗り心地はいいものの動きすぎる感じで違和感があります。特に気になるのがブレーキング中にギャップがある場合でした。
まず、スピードコントローラを全閉にして…
初心者コースのブレーキングギャップを通過してみました。
スピードコントローラ全閉のため違和感は小さいですが、次コーナーの轍には入りそこねています。
このセクションだけでなく全体的な印象ですが、サブタンクなしに比べるとフロントが低く弾力がある感じになります。ゴムっぽい動きというか路面の凹凸に対するあたりは柔らかい感じです。
※カメラはネックブレースに付いていますが、この後、両面テープがはがれました。
次に、スピードコントローラの絞りを大きく開いて…
ブレーキングギャップを通過しました。
やはり、スピードコントローラを開いた方が違和感が大きくなります。まず、ブレーキングで沈み込む量が大きくなりますが、ギャップから受ける衝撃は小さくなるものの、前輪がはねて接地していない時間ができるような感じになりました。一瞬ブレーキが利かなくなったような印象でした。
ただし、フロントがよく沈んでいるのでコーナー進入の倒しこみはスムーズになる印象です。
とりあえず機能しているようなので、本コースの方へ行きました。
SMC製スピードコントローラのWEBカタログ
4月24日追記
低く感じたり、あたりがやわらかいのは、サブタンクからフォーク本体に戻る流路に抵抗があって、フォーク内圧が大気圧以下になっているからではないかと思います。
「真空引き」のような状態になっているのだと思います。
同じような状態はエア抜きボタンでも実現できます。乗車した1G状態でエア抜きボタンを押しておけば、フォークの伸びきり付近では大気圧以下になります。一般的に、油圧機器の作動油を真空引きすると、特性は良くなります。両ロッドタイプの油圧緩衝器は真空引きをする場合が多いようです。
オリジナルのエンゾーサブタンクがどういう構造なのか、詳しいことは知りませんが、ニードルアジャスタがついていただけのようだったので、だとすると、戻り流路も絞られて真空引きになっていたはずです。走りながら真空引きし続ける感じになります。圧縮もするので、全体的にみると真空引きとは言えないのかもしれませんが、圧縮するだけよりはいいのかもしれません。
エア抜きボタンを押し続けながら走る感じです。
オリジナルのenzoサブタンクは、左右2個別々で、
それぞれがホースで接続されてから、左右のフロントフォークに縛り付ける感じでした…
フロントフォーク内のエアは、ミスト状になった作動油を含んでいるんでしょうか?そのサブタンクには、作動油が蓄積しやすく、ほぼ、走行毎に取り外して、溜まった作動油をフォークに戻す必要がありました。
ということで、今回は、フロントフォークより高い位置にサブタンクを設置しています。

エア抜きビスからの接続はなんとかなったようです。

スピードコントローラという名称の絞り弁

空気用を発注するつもりが水用で、また、体格ちがいで小型の製品が存在するということに気がつかず、大型の方を注文してしまいました。
空気用の小型を発注しなおして、届いた品物が以下の写真です。

値段は1500円/個程度で大型の製品より安いですが、価格のちがいは主にワンタッチ継ぎ手の有無のような気がします。製品のラインナップとしては、小型ボディでワンタッチ継ぎ手付きの製品も存在するようですが在庫がありませんでした。
小型と大型の比較です。

重量で比較すると、小型は45g、大型は80gです。
今回の場合、小型はワンタッチ継ぎ手が後付けになりますが、写真を見てのとおり重量増になると思います。
小型でも大型でも最高出力(最高圧力差)は変わりがありません。

なぜそんなことができるかというと、内部構造はポペット弁でポート径が小さければバルブを保持する力も小さくて済むからです・
以下の表より、ソレノイド(電磁石)の消費電力を比較すると、小型は2.5W、大型は3Wで違いがあります。

では、小型は何が不利なのかというと?
まず、流せる流量が違います。空気なら小さい穴でも抵抗は少ないですが、液体だと抵抗が増えて流せる量が少なくなります。
2つ目にポート穴や部品の加工精度は大型でも小型でも同じであるため、製品のバラツキなどは小型の方が大きくなります。交換したら調子が変わるというのは小型の方が発生しやすいはずです。
3つめですが、一般的に電気素子は体格が大きいほど放熱性が有利です。今回の場合、小型の製品は消費電力が2~3割小さいですが、重量は半分ぐらいです。より正確には表面積で比較するといいのでしょうが、大きい製品の方が有利な可能性があります。温度が上昇するとソレノイドコイルの電気抵抗が増えるため応答速度が遅くなる可能性は考えられます。
WEBカタログ
エンゾーレーシングのロス・マエダ社長から、フロントフォークに取り付けるサブタンクをもらったことがありました。15年ぐらい前の話です。
左右別々に2つのタンクがあって、フロントフォークとはホースでつながっていました。タンク側にニードル絞りがあってエアの流れを絞る構成でした。
エンゾーレーシングの隣の店舗は、カーボン製品のバーグレーシングということで、タンク本体はカーボンでできていました。ボトムというか円筒カーボンの両端をふさぐパーツは切削品だった気がします。品物がカーボンだからなのか?接着剤で固定されていたようです。数年後には劣化して外れてしまいました。捨ててはいないと思うので、どこかに残骸が残っているはずですが…
エンゾー式サブタンクを取り付けると、フロントフォークのエアが増えるためエア反力が減少します。油面を落とすような効果があります。ロス氏の説明では50ccぐらいは作動油を足した方がいいということだったと思います。
絞りがあるため、フロントフォークが勢いよく縮む場合にはサブタンクが無い状態に近くなり、ゆっくりと沈む場合には油面が低くなったような感じになります。おおざっぱにいえば、ブレーキングではフロントが沈むが、車速が高かったりジャンプした場合はフロントが高めになる感じだと思います。
それで…
同じ機能を持つ品物を「通販で買える部品だけで」制作してみました。

サブタンクは1個にまとめて左右のフォーク両方につなぎます。サブタンク本体は米式バルブのついた再利用可能なスプレー缶です。スプレー缶なのでスプレーすればフォーク内圧を大気圧に戻すことができます。
ホース内径はΦ2.5mmです。耐圧の問題で細いチューブを使いたいという用件があります。ただし、この手のサブタンクは作動油がエアと混じって噴き出してくる場合があって、その場合は絞りが強くなるような状態になります。
絞りは汎用の絞り弁を使います。

SMCという会社の製品は、他社の製品よりも耐圧が高いようです。
本体に油圧回路図が刻まれていますが、戻る方向はチェックになっていて絞りが働かない構成になっています。
構造図です。

チェック弁機能を実現しているのはUパッキンのようです。また、絞り部はUパッキンの内径あたりにあります。
組みたて前の部品です。

ナイロンホースは数百円で数メートル買えます。スプレー缶が高めで4000円ぐらい、絞り弁はスピードコントローラと呼ばれていて1000円~1500円ぐらい、継ぎ手の類は安いものは300円ぐらいから、高くても800円ぐらいの場合が多いようです。計算していませんが、材料代だけだと8000円ぐらいではないでしょうか?
ナイロンチューブを切る専用工具があります。これも1000円しないぐらいだと思います。
M5のメスネジを4mmチューブに接続できる継ぎ手が届きました。

どうやら、パッキンの類は付属していないようでした。

シールテープを巻きます!

実は、シールテープを巻いた経験は数回ぐらいしかありません。もう忘れてしまっていましたが、たいへんに薄くてたよりない感じのテープです。
使い方の説明を読んで2回転巻いてみました。
Oリングは取り外して、向かって右側からフランジナットを組み付けましたが…

中空イモネジの先端がシールテープでふさがってしまっていることに気がつきました。
巻きなおしたところです。

一度巻いてナットを通したシールテープははがせない感じのようです。さらに2回転ほど巻いて、イモネジ先端部は刃物で削り落しました。
再び、フランジナットを組み付けました。

シールテープを厚く巻いていますが、まだ余裕がある感じでした。もっとたくさん巻いてもいいのかもしれません?
継ぎ手を組み付けて完成しました。

下の物が完成品です。上の品物は市販のエア抜きボタンですが、クビ下長さを比較すると今回組みたてた品物の方が多少短いようです。
車体に取り付けてみました。

まだ仮組でナットにトルクはかけていません。
上の方に見える透明なチューブはΦ4mm×Φ2.5mmのナイロンチューブで、耐圧は1.5MPaです。継ぎ手などの部品は耐圧が1MPaの場合が多いですが、SMC他一部のメーカーだと最高耐圧3MPaぐらいの場合があります。