2_カムシャフト取り外し
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シリンダヘッドカバーを取り外すことができました。
車体右側面からみるとカムシャフトの先端にハンマー?のような部品が見えます。部品の名称がデコンプレッサということなのでデコンプなのでしょうけれども、エンジンが止まっているときはデコンプが効いている状態で回転しだすとデコンプが解除されるのだろうと思います。
左側にはカムチェーンとスプロケットがあります。
カムシャフトを取り外すためにはカムチェーンを取り外す必要があります。カムチェーンの反対側はクランクシャフトですが分解時にはカムチェーンをクランク内に落とさないようにという注意書きがあります(サービスマニュアル)。
写真の右端に写っているのは燃料タンク(チタン合金製)です。フレーム左側にぶら下げるようになっていますがカムチェーン側を作業する場合は邪魔でした。
シリンダヘッド上部を分解する目的はデコンプレッサプランジャという部品を交換するためカムシャフトを取り外すことです。ハンドルを取り付ける部分と同じような構造のカムシャフトホルダという部品があって固定ボルト4本を取り外します。ただし、組み立てる時にクランクとカムの位置関係が元通りになるように分解しておく必要があります。
位置関係をそろえる方法として、クランクシャフト側については車体右側面にのぞき窓があってクランク軸に取り付けられているプライマリドライブギアを見ることができます。目印の線が2本あってむかって左側の線にはTの刻印があります。そちらの線をクランケースカバーについている突起の位置に合わせます。クランクシャフトを回転させる方法はいくつかあると思いますがキックペダルを動かすかプライマリドライブギアを固定してる六角穴付きボルトでも回ったと思います。締めつける方向に回せば問題ないはずです。
カムシャフト側はスプロケットに目印の線が2か所ついていてその2つの線が水平になるような位置に合わせます。「水平」するために線が2本あるのだと思いますが2本あるため180度逆になっている可能性はあります。
※カムチェーンを落とさないようにワイヤーで吊りました。
180度逆ではないことはデコンプレッサの位置で判断します。
サービスマニュアルには絵が描いてあってデコンプウェイトが図のような方向に向いているようにと書かれています。
ボルト4本を緩めてカムシャフトホルダを取り外しました。カムチェーンはスライダに押しつけられていて張力をかけられている構造です。カムシャフトホルダを外すとカムチェーンに引っ張られてカムシャフトが傾きます。
カムシャフトにはベアリングが2個ついていますがベアリングの外径にキー溝があります。カムシャフトホルダにもキー溝があって半円形状のセットリングにより横方向の位置決めをしています。サービスマニュアルにはセットリングをクランクケース内に落とすなと書いてあります。幸いクランクケース内には落としませんでしたが、つまみににくくバネっぽい品物で何度も脱落しました。
この状態からカムチェーンを取り外すのに苦労しました。向かって左にクランクシャフトをずらすとベアリングやカムの当り面がずれます。カムチェーンを緩ませることができたため取り外しに成功しました。
本来はカムチェーンテンショナーという部品を調整してカムチェーンの張力を減らして作業するのが正しいようです。この時点ではサービスマニュアル内を探しても見つけることができず無理に外した感じになりました。
カムシャフトを取り外すことができました。青の矢印がキー溝で赤の矢印がセットリングです。
セットリングは容易に脱落します!
カムシャフトを取り外したシリンダヘッド側
シリンダヘッド側のベアリング当り面にキー溝はありません。カムシャフトホルダ側にキー溝があります。カムチェーンはクランクケースの方へ落ちてワイヤーで吊り下げられている状態です。シリンダヘッド側の作業はありません。
将来的にはバルブクラランスの調整を実施する必要がでてくるでしょうが、調整するシムはインテーク/エグゾーストロッカアーム両方の下にあります(赤い矢印)。
ロッカアームは手前がインテーク(吸気)ですが、2017年式で採用された新技術のフィンガーフォロワーロッカアームです(黄色の矢印)。黒く見えますがDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と書いてあったような気がします、切削工具に施行するような表面処理で接触面圧が高い場合に摩擦が少ない方法です。フィンガーフォロワーはテコの原理を逆にした仕組みのように見えます。カムの押しつけ力も大きくなりますがストロークが大きくなり吸気バルブを大きく開くことができるのだろうと思います。